アフリカ小僧、隠居日録

定年後の日常を、隠居所で気ままに書いてるブログです

作家、庄司薫の夕飯

 庄司薫と言っても昭和世代は知っているが、それ以降の人たちは知らないかも。学生運動が盛んだった1969年、「赤頭巾ちゃん気をつけて」という小説を出版し、芥川賞を受賞した人物である。

 

 小僧も出版直後に読んで、世の中にはしゃれた小説を書く才能に満ち溢れた男がいるものだと感心した記憶がある。(偉そうに、ス、スマンです)主人公の薫クンとその友人が桜餅を食べる場面があって、友人が次から次へと実に美味そうに食べたことを覚えている。50年経った今でも、桜餅を食べると「赤頭巾ちゃん気をつけて」を思い出すくらいだ。

 

 「赤頭巾ちゃん」は、160万部以上売れベストセラーになったが、米国の作家サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」という作品との類似性を指摘する議論も起きた。ちなみにサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」は野崎孝訳で親しまれてきたが、21世紀に入って村上春樹訳で「キャッチャー・イン・ザ・ライ」と言うタイトルの本でも発行されている。

 

 実家にも、学歴にも恵まれた主人公の薫クンと作者に反発する人も多かったと思うが、結果として憧れの気持ちの方が勝って、小僧のように本を購入した人が多かったようだ。朝日文庫「わが家の夕めし」には、庄司薫が一人で鉄板焼きを食べる写真が収録されている。

 

撮影の日付は、1970年11月となっているので、芥川賞受賞の翌年の写真。朝日文庫「わが家の夕めし」から引用。

 当時は文化人?を中心に、タートルネックのセーターが流行っていた印象があるが、この日の薫クンではなかった庄司薫氏の格好もトックリのセーターだ。あまり見かけなくなったトックリのセーターだが、最近、な、なんと大谷翔平が化粧品の宣伝で着ている。

 

 薫クンと翔平クンのトックリ姿を比較すると、1970年の日本人と2023年の日本人の体形が大きく変わったと感じる。え?比較がおかしい?失礼しました。いずれにせよ、学生運動が盛んだった1969年の薫クンは、50年後の日本で筋トレやプロテイン摂取がこれほど盛んになるとは想像できなかったことだろう。

 

 

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