アフリカ小僧、隠居日録

定年後の日常を、隠居所で気ままに書いてるブログです

水中歩行

 四十年以上、プールに通い続けている。週三回前後だが、健康にいいことだと実感している。短気高齢者となった小僧はいくつもの悪い習慣を持っているが、プール通いだけはいい習慣だ。

 

 若い頃は下手くそなりに泳いでいたが、今はもう歩くだけだ。そう、いわゆる「水中歩行」というやつだ。四十分ほど、二十五メートルのプールを行ったり来たりする。時に、平泳ぎの手の動きをしてみたり、後ろ向きに歩いたりする。

 

 

 近所のジムのプールを使っているが、水中歩行をする人が多い。時間帯によっては、かなり密集した行列になる。ほとんどの人が、小僧と同じ高齢者だ。お婆さん、お爺さんが行列して水の中を歩き続ける光景は一種壮観である。

 

 さすがにお経を唱えながら歩く人はいないが、聞こえてきてもいいような雰囲気だと、小僧は感じている。お遍路と言うか、皆で列を作ってあの世に向かっているようだ。

 

 大きな声で歌いながら歩く人がいたが、しばらくして来なくなった。余計なことをすると、長続きしないのが水中歩行だ。退屈でも、我慢して歩く。四十分も歩けば、無心の境地になり、心身共に蘇生するようだ。

 

 水中を歩けばあの世が見えてくる。有難きかな、水中歩行。小僧の生涯の友だ。