アフリカ小僧、隠居日録

定年後の日常を、隠居所で気ままに書いてるブログです

書庫で暮らす

 立花隆著「立花隆の書棚」(中央公論新社)を読んだ。読んだと言うより、彼の書棚を見た、と言う方が正しいかもしれない。と、言うのも、この本のテーマはタイトルが示すように、本が並んだ書棚であるからだ。

 

 田中角栄、脳死、共産党、農協、全学連、宗教、医学などなど、様々なテーマについて研究し、本を出版してきた立花隆の書棚の写真が多数収められた本である。膨大な本の数である。

 

 

 本はどこにあるのか?「ネコビル」と呼ばれる地下二階、地上三階建ての建物にある。屋上にも収納場所があった。写真を見てわかるのは、ともかく本だらけのビルであったということだ。

 

 本好きの人間なら、書庫で生きて、書庫で死にたいと思うかもしれない。しかし、ネコビルはそんな甘いものではなかったようだ。ともかく、本だらけで、横になるようなスペースさえ無かったようだ。

 

 本以外に許されるのは、一人の人間が読んで書く最小限のスペースだ。

表紙タイトルの下の写真は、本がぎっしりと詰まった書棚だ。ネコビルのすべての階がこうした書棚で埋め尽くされている。

 立花隆は、古本屋との付き合いも濃密だったようだ。この本の中で、「警察資料まで売っている古本屋」と書いている。共産党や全学連、連合赤軍関連の資料を集めていた立花は、作成元が警察や公安調査庁の資料を古本屋で入手したと書いている。

 

 「あらためて日本の古本屋って面白いところだと思いますね。こういった警察側の資料がけっこう出てくるんですからね」(本書、373頁)

 

 全650頁、厚さ5.4センチの分厚い本書に巨人、立花隆のすべての書籍が詰め込まれた書棚の写真が収められていて、圧倒された。